栄養の基礎

アルコールは栄養素じゃない?

エンプティカロリーが身体を疲弊させる理由

「アルコールは1gあたり7kcalあるから、エネルギー源になるんじゃないの?」
こう考える人も少なくありません。
確かに、糖質や脂質と比べてもアルコールのカロリーは高めです。
しかし、アルコールには「栄養素」と呼ぶための条件が満たされていません。

栄養素とは?

栄養素と呼ばれるには3つの条件が必要になります。
①身体を動かすエネルギー源になれること
②身体を作る材料になること
③身体の調子を整えるもの
このいずれかを満たしていなければなりません。

アルコールは栄養素?

アルコールは代謝の過程で一時的に熱量を発生させるだけで、身体の構造や調子を整える働きはありません。
つまり「エンプティーカロリー(空っぽのカロリー)」と呼ばれる栄養価のないエネルギーなのです。

アルコールは身体を疲弊させるだけ

アルコールが体内に入ると、肝臓でアセトアルデヒトという有害物質に分解され、さらに酢酸を経て、最終的に、水と二酸化炭素になります。
この過程では一時的にエネルギーが発生しますが、筋肉や臓器の材料になることはありません。
むしろ、アルコールを分解するためにビタミンやミネラルを消費します。
これが「お酒を飲むと疲れやすい」「二日酔いになる」原因の1つです。

また、アルコールは肝臓に負担をかけ、脂質代謝を妨げます。飲みすぎると「肝臓が脂質を溜め込み、脂肪肝や肝機能低下を招く」ことも珍しくありません。

さらに、アルコールは利尿作用があります。
飲み会の翌日に肌が乾燥したり、頭が重く感じるのは、身体が脱水状態になっているサインです。

お酒で太るのはなんで?

「ビールや日本酒は太る」と言われるのは、単にアルコールのカロリーが高いからではありません。
本当の理由は以下の2つです。
①肝臓がアルコール分解を優先するため、脂肪やとうの代謝が後回しになる
→結果として、脂肪が蓄積されやすくなる
②飲んでいるときの食べ物が高カロリー
→飲み会などで食べるおつまみには揚げ物などが多く高カロリーになりがち。締めのラーメンなどはもっとも最悪。

たとえば、ビールを500ml+焼き鳥5本+締めのラーメン・・・
これだけで約1000kcalを軽く超えてきます。アルコールが代謝を阻害している状態でこれだけ食べれば、太っていくのは当然です。

さらにアルコールは「睡眠の質」を下げることもわかっています。一時的に寝つきよく感じても、深い睡眠が減り、翌朝の疲労感が強くなることが多いです。

アルコールと上手に付き合うことが大切です

アルコールは「栄養素」ではありません。
カロリーはありますが、それは体を構成したり、調子を整えたりする有益なエネルギーではない、エンプティーカロリーです。

だからといって、完全にゼロにする必要はありません。
嗜好品として楽しむ範囲で適量を守れば問題ないでしょう。

アルコールの適量ってどれくらい?

適量は人それぞれですが、厚生労働省は「健康日本21」で「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」を1日あたりで、男性なら40g以上、女性なら20g以上と定義しています。

それってどれくらい?

純アルコール20gに相当する酒量
・ビール(ロング缶)1本
・日本酒 1合
・ウイスキーダブル(60ml)
・チューハイ 1本
・焼酎 2分の1杯
・ワイン グラス2杯(200ml)
になります。
参考にしながら摂取しましょう。

お酒を飲むなら意識すること

・飲むならビタミンも多く摂る
・水をこまめに飲む ※適量はこちらを参照
・週に2日は休肝日をとる
こうした工夫をすることでアルコールとうまく付き合いながら健康を保つことができます。

アルコールはあくまで“楽しみ”として適切に取り入れることが、長い目で見た健康の第一歩です。

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bamoblog 柔道整復師 鍼灸師
1998年生まれ 東京都出身・東京→埼玉→東京育ち 【保有資格】鍼灸師・柔道整復師 【勤務経歴】 南池袋の手技特化の整骨院で8年勤務 池袋の運動療法特化の整骨院に転職 柔道整復師、鍼灸師として延べ1万人以上の背術経験を持つ。姿勢改善と根本改善を専門とし、身体の知識を深めている

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